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Aptiva520を延命するの巻 1996.10.13(日)

 近頃ヒロコさんは愛用のAptiva520(Windows95搭載)がノロいと不満を募らせていた。
i486DX4/100MHz + 60ns 8MB×2 + 540MB HDD のマシンが遅くて不満になるのだから、最近のOSは美意識も無く肥満の一途を辿っている。しかしまあ何がどう遅くて不満なのかヒアリングをしてみることにした。聞いてみると、どうもプログラムの切替えや起動が遅いのが不満のようだ。処理速度そのものにはそれ程不満はなさそうである。

 実はお抱えエンジニアをやっているにもかかわらず、私はヒロコマシンを殆ど使った事がない…いや正しくは使えないのだ。
何しろキー操作が余りにも激しくカスタマイズされているので、私にはあのマシンのキー操作は不可能である。それではマウス操作はどうかというと、御存知ポインティング・デバイス評論家の彼女は「クレヨン」なるペンマウスを御愛用である。こいつも私には完全にアウトの代物だ。おまけにキーボードは苦手の106だし、日本語入力はデフォルトでJISカナに設定されている、とここまで異操作文化に徹底していると、おいそれとは手が出せないのである。
加うるにヒロコ姫は大変自立心旺盛な見上げた女性だ。何事につけ問題が発生した時などでも、コツや原理だけ聞いてあとは全部独力で解決したい性分なのだ。都合の良い時だけ甘えた声を出して「ねぇ〜、お願い、やってぇ〜」とか「さっすが〜理科系、やっぱりすごいね〜」とか調子こいた態度は一切取らない。まったく実に骨のある人なのだ。

 そんな訳で、私はヒロコマシンのコンディションを常時隅から隅まで知っているわけではない。従って問診を行った後、実際に操作をしてみてもらい、脇で見ていて診断を行った。
 その結果、現在の彼女の不満はメモリ不足が一番目の原因でハードディスクの遅さが次点、と考えざるを得ない。仮想メモリにバシバシアクセスするし、純正HDDが何しろトロい。vcacheはバカの一つ覚えでメモリを取りに行こうとするクセがあるが、アプリが要求すれば大人しく明け渡すようだから、賢くはないがそれ程害はない。
しかしそれにしても、何で16MBも積んでいるのにメモリが不足するのだ。たかが単一アドレス空間の擬似32ビットパーソナルOSではないか。それに彼女はOffice95みたいな化物アプリを使っている訳でもない。どうも診断結果が自分で信用できない。

 そこで512MBメモリ(64MB SIMM×8)搭載のPentium 60MHzマシンというゲテモノにWindows95をインストールし、起動時に一定量のメモリを食い潰すVxDを書き、メモリを徐々に減らしながら、彼女の使っている比較的軽いアプリを何本か立上げ、レスポンスの変化を見るという大層な実験をしてみた(^_^;)。
するとメモリ量が512MB〜48MBの間では殆ど使用感に差はない(もちろん巨大な画像データでも処理すれば大容量メモリの効果は著しいが、そんなデータも彼女は使わない)。ところが36MBあたりを境に遅く感じ始める。勿論仮想メモリのせいだ。16MBではAptiva520より遅い。
 しかしあまり遅くならないソフトもある。調べてみるとドカッとVirtualalloc()を使い、Win32アプリとして行儀良く書かれたソフト程メモリ量に速度が依存する。一方ファイルポインタをガシガシ移動してはアクセスし、小刻みにメモリをアロケートして使うソフトは8MBメモリでも結構速い。ああ、Windows95という超メジャーOSは一体何なのだ!

 さてマシンの新調まで考えていたヒロコさんであったが、この実験結果を踏まえ、結局16MBのSIMMを2本と1GBクラスの速いHDDの増設で対処しようという結論となったのである。
で、今日その増設工事を行ったのであるが、マニュアルは当然の事ながら紛失、力仕事とホコリ払いと金物細工が伴い、且つ非純正部品ばかりの追加となると、さすがの彼女も手は出さない。だから作業は私がやった。この作業における必携ツール、マウスと101キーボードを携えて(^_^;)。
 しかし、いやはや、メーカ製のコンパクトなマシンというのは何とも始末に終えない代物だ。たかがHDDの増設ごときにシャーシを全部バラさないと取り付けられないとは! 8MB×2 + 16MB×2を差すSIMMソケットのバンクに指定があるとは! おまけにフルサイズのISAカードとSIMMが当たる! プロは勘所を押さえているから、何かマズければ直ぐにどうすれば良いか分かるからいいが、これでは巷で素人が苦労するのは当り前だ。
 Win95には未だにFATなんて石器時代の遺物が残っているのか! ではクラスタサイズの肥大を恐れて1.2GBのHDDは半分こだ、半分こ。片方は仮想記憶用に取り敢えずドッカーンと空けておこう…てな訳でトラブルもなくAptiva520体力増強・延命作戦は成功した。搭載メモリは48MB、HDDは1.8GBと素晴らしく広くなった。

 作業完了と同時に丁度ヒロコ姫はお目覚めである。いつもの様に半覚醒状態でマシンを立上げ、ひとしきり何かやっていたが、一言「う〜ん…? 何か速くなったみたい…」とつぶやく。私はそれで十分満足なのである。


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