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 夢半球 79.11.5発売 PCCA-00261

真夜中にひとりで、誰だかわからない「あなた」に向かって手紙を書いている。そして次第に自分の心の闇の中に入り込んでいく…というA面、夜サイドと、夜が明けて窓の外の草木や風に触れて少しずついやされていく…というB面、昼サイドの二部構成になっている。暗いのだが、暗さのテンションが高い。いいアルバムだと思うのだが、声があまりに暗いのでもう自分では聴けない。ちなみに本格デビューの「ねこの森…」からこのアルバムまでは、新しく作った歌と、もっと前、十代の終わり頃に作った歌が混在している。いわゆる貯金を食いつぶしていたわけだが、別の言い方をすれば、18歳からこの頃までは同じような精神状態の中にいたということでもある。

収録曲目……扉/破れ傘/たずねる/愛の妖精/紙吹雪/陽だまりの少女/もみの木/風の子供/テングサの歌/イーハトーブの魔法の歌/風を追いかけて

 鏡の中のあなたへ 78.12.5発売 PCCA-00260

これと、次の「夢半球」のおかげで「暗い谷山浩子」というイメージが広まった。確かにこの時期の谷山浩子は暗かった。恋も仕事もつらいことばっかり、という感じで、人に会うのもいやで、人はみんな嫌いだった。でもそういう状態の人間が歌を歌うと、その歌にはある種の魔法が宿るのかもしれない。ただアルバム作りそのものに関して言えば、これは完全な寄せ集めだった。当時の担当ディレクターに「童話の組曲みたいなものは一般大衆(と彼は言った)には受けないから、もっとオーソドックスな大人の恋の歌を集めたアルバムを作れ」と言われて、手持ちの歌を並べたのだ。だけどぜんぜん「オーソドックスな大人の恋の歌」じゃないな。あらためて聴くと。

収録曲目……あたしの恋人/桜貝/紙ひこうき/積木の家/砂時計/窓/遠い夏〜津軽に寄せて〜/眠レナイ夜/星のマリオネット/忘れられた部屋で

 もうひとりのアリス 78.3.10発売 PCCA-00259

前半(A面)は西洋の童話、後半(B面)は日本の昔話をモチーフにして作った組曲。西洋編はそれぞれよくできていると思うのだが、日本編のほうははっきり言ってヘンなのが多い。なんか詞も曲も非常識な感じというか、たまにリクエストが来るとどう歌っていいかわからなくて困るような歌ばかり揃っている。自分で作っといて言うのもなんだけど。

収録曲目……アリス(プロローグ)/鏡よ鏡/魔法使いの恋人が逃げた/青い鳥/不思議なアリス/赤い靴/アリス(エピローグ)/北風南風/二月の部屋/雲雀/水蜘蛛/夜明け前声がやって来た/やまわろ

 ねこの森には帰れない 77.5.25発売 PCCA-00258

歌手として本格的にデビューした「2枚目のデビューアルバム」。前半(A面)はそれまで貯めていた曲の中からいいものを選りすぐったので、上出来なのは当然だが、直前に書き下ろした後半(B面)の組曲がまた、いっきに書いたとは思えない出来である。あまり苦労せずにいい曲がたてつづけにできてしまう時というのがあるのだ。アルバム作りの楽しさと躍動感にあふれた、初期のおすすめ盤。(B面の組曲はあまんきみこさんの連作短編童話「くるまの色は空の色」をモチーフにしている)。

収録曲目……朝の扉を開くとき/河のほとりに/ねこの森には帰れない/私の愛した人/風を忘れて/お早うございますの帽子屋さん/すずかけ通り三丁目/おさかなはあみのなか/山猫おことわり/くま紳士の身の上話/本日は雪天なり

 静かでいいな 〜谷山浩子15の世界〜
     72.4.25発売 キングレコード(現在入手可能なのは94.2.5発売のCDのみ KICS-8010)

中学三年の時に録音して、高一の春に発売されたほんとのデビューアルバム。すべて13〜15歳の時に作った歌で、メロディはシンプルで歌詞は率直・あるいは無自覚、歌い方は不器用で生真面目。この年令でなければ歌えない歌だし、この年令でなければ出せない味だということだけは確かだ。わたし自身は非常に恥ずかしいんだけど、これが好きだという人もいます。

収録曲目……銀河系はやっぱり回ってる/天使のつぶやき/風船/ひとりになりたい/時の流れの中に/こんな素敵な夜なのに/今、始まる/静かでいいな/天使の子守歌/教えてください〜加瀬クンのために〜/どこかで小さな/夜明けまで/今、どうしたら

Image Data Created by Tohru Maruyama


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