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☆第一章「妻の不在」 あらすじ

 家に帰ると妻がいなかった。空腹の私は台所を探したが食物はいたんでいる。仕方なく自分の指をしゃぶると、うっとりするほど美味である。台所には妻の几帳面さの痕跡が残っている。
 電話がかかってきた。ベルの音だけが虚しく鳴り続ける。「実は妻は目の前にいるのかも」などと混乱して庭へ出ようとすると、足がもつれ目の前が曇った。それは鍋から立ちのぼる湯気のせいだった。
 窒息しかけたその時、私の前に妻の影が現れた。舐めたいという衝動に襲われ近づくと、天井から水滴が垂れてきた。ここはビタクラフト鍋の中らしい。どこかにいるはずの妻の名を呼ぼうとしたが名も姓も住所も思い出せない。「体に塩をなすりつけろ」と誘う妻の声がしたがそれは知らない他人の声だった。
 空腹だ。誰かが倒れているがさすがに人間は食えない。焼いた子羊の幻覚に襲われる。しかし気をとりなおし、鍋の中から出て妻の行方を探す決意を固めた。
 私はダシの海をさざ波たてて爽快に滑り、意識を失いかけ、凍ったダシの吹雪の中を歩き、ダシの急流に身をまかせ、急流をさかのぼった。
 やがて無限の時が過ぎ神仙となった私は、荒れ果てた崑崙についた。まだ空腹だ。口笛で五色の雲を呼ぶとそれは龍になり舞い上がった。私の意識と肉体も龍を追って舞う。龍は「尼寺へ行け」と言う。私は伝説の羽衣をまとって空を飛んだ。崑崙の頂き近くで羽衣が輝きだし、9本の光の筋を描いた。光に従って私は歩き出した。
 小鳥に火炎攻撃されたが、もはや精神の集合体になっていた私はやられなかった。私は妻に転生することにした。

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